「妻への思いやり」を実現させる3ステップ!ー夫婦関係改善とは自己変容の旅。
ないがしろにされているように感じる。
大切にされているように思えない。
もっと、私を大切にして欲しい。
妻からそう言われたことはあるだろうか? 仕事に家事に子育てに忙しい僕らでもできる、妻への思いやりのはぐくみ方を今回はお伝えする。
今回の夫婦関係学ラジオのリンクはこちら。
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夫婦関係には思いやりが必要と言われるが、思いやりという言葉は定義があいまいだ。優しければいいのか、ただ黙って話を聴けばいいのか。つい論理的に物事を考えてしまうぼくら男性にとって、これは難問だ。
思いやりとは何か?
僕は次のように定義している。
”自分や他者が苦しんでいることに気づき、それを積極的に和らげようとすること”
ダライラマ14世によるコンパッションの定義だ。僕は妻への思いやりとは、すなわち妻へのコンパッションだと思っている。
妻が苦しんでいることに気づき、それを積極的に和らげようとすること。
これが妻への思いやりの定義だ。では、どうすればそれは実現できるのか?そこには三つのステップが存在する。
第一ステップ:他者(妻以外)へのコンパッションビームと感謝のワーク
夫婦は精神的にとても距離が近い。自分にとって大切な存在であり、その分だけ期待や甘えが発生する。いきなり、妻への思いやり(コンパッション)を実現されることに抵抗を感じる人もいるはずだ。
では、どうすればいいのか?
妻以外の他者へのコンパッションに慣れるのだ。妻以外の人間にコンパッションを向けることに慣れれば、妻へもコンパッションを向けやすくなる。
では、他者へのコンパッションとは具体的に何を指すのか?夫婦関係学ラジオにご出演いただいた石村先生が主催するコンパッショネイト・マインド・トレーニングで学んだことを皆さんにシェアしたい。
トレーニングでは他者へのコンパッションとして、「コンパッションビーム」が推奨された。ビーム?どういうこと?と思うだろう。僕もそうだった。
コンパッションビームとは何か?
それは、他者に対する祈りの念を送る行為のことだ。例えば、仕事で取引先と打ち合わせをしたとする。会議室で仕事の話をし、エレベーターまで取引先を送る。「今日はどうもありがとうございました。引き続き、よろしくお願いします」と、エレベーターの扉が閉まるまで頭を下げるだろう。
姿が見えなくなったら(やれやれ、この後も仕事が詰まってて大変だ)とげんなりするかもしれないし、(ハードな打ち合わせが終わってホッとするな)と一息つくかもしれない。
いつもならここで終わるだろうが、ここでコンパッションビームの出番だ。取引先の姿が見えなくなったら、仮にその方の名前が鈴木さんだとしたら、心の中でその方の幸せを祈るのだ。
(今日が鈴木さんにとって幸せなものでありますように)とか(鈴木さんの人生が幸せでありますように)などと。
宗教っぽさから抵抗感を感じる人もいるだろう。確かにそれは当然の反応だ。僕もそう感じた。だが、よく考えてみると、「他者に対する思いやり」は悪いことだろうか?
利益や自己実現を追求する社会の流れに身をまかせすぎた結果、僕らは「他者への思いやり」を推奨する思考を「うさんくさい」ものと認識してはいないだろうか?
人間が生物として幸福に暮らすためには「他者への思いやり」は欠かせないものじゃないだろうか?他者への思いやりを商売にしたひどいビジネスもこの世には確かに存在する。善意を悪用し、人を不幸におとしいれる人間も存在する。
だが、「他者を思いやる」行為自体は尊いものじゃないだろうか?
そう認識を変えれば、誰かに思いやり(コンパッション)を向ける(ビーム)ことはそんなに違和感を覚えなくなるはずだ。
打ち合わせの後に、職場から帰るときに、いろんな場面でコンパッションビームを使うことができる。
〇〇さんが幸せでありますように。
そう祈ることで、少しずつ心のなかが洗われていき、優しさで満たされる感覚を感じられるようになるはずだ。僕が受けたトレーニング仲間には、大嫌いだった同僚に対してコンパッションビームを送ることで関係性が信じられないほど改善された方もいた。僕も苦手意識を感じていた同僚との関係が少しだけ楽になった。
僕ら男性は一日のほとんどの時間を職場で過ごしている。きっと僕のように一日に何件も打ち合わせがある人もいるだろう。打ち合わせが少なくても、誰かと会話をする機会は職場ならあるはずだ。ならば、コンパッションビームを実践する機会もたくさん存在するはずだ。
職場の上司、同僚、取引先などに対してコンパッションビームを送ってみよう。リモートワークが多いならビデオチャットやテキストチャットのやり取りが終わった後に、その人に対して送ってみよう。
今日が〇〇さんにとってより良いものになりますように。
〇〇さんが幸せな人生を歩まれますように。
仕事で気を張っていてそんな気になれない時は、外を5分から10分程度散歩しながらやってみよう。僕も2〜3時間に一回は外に出て、なるべく日が当たる自然のなかを歩きながらコンパッションビームを送っている。
気持ちのいい緑のなかを歩いていれば、誰かに対する優しい気持ちも出やすくなるはずだ。
そうやって、一日に最低は一回、一週間以上繰り返してみよう。徐々に他者に対する思いやり(コンパッション)に慣れていき、当たり前の習慣へと変わっていくはずだ。忘れてしまったら次の日にやればいい。あまり頑張りすぎないこともポイントだ。
2〜3ヶ月もすれば、コンパッションが体に染み込み、他者に対する思いやりを持つことに心地よさを感じるようになっていく。
これを極めることを悟りを開くというのかもしれないが、修行者ではない僕らはそこまでする必要はなく、ただ他者に対する思いやりを当たり前のものとして持ち、他者に思いやりを向ける時に心がじゅわっとあたたかくなる幸福感を感じられれば十分だ。
そして、それに慣れたら思いやりを向けた人々への感謝の言葉を紙に書いてみよう。一日3個を一週間続けてみよう。さらに、思いやりを向けやすくなるはずだ。これが感謝のワークだ。
どんなことだっていい。〇〇さんが仕事を少し手伝ってくれたから助かった。〇〇さんが笑顔で話しかけてくれた。そんなささいなことでかまわない。心の中に生まれる感謝という感情に敏感になるのだ。
そして、次のステップが妻へのコンパッションビームだ。
第二ステップ:妻へのコンパッションビームと感謝のワーク
他者に対するコンパッションに慣れることができれば、妻へのコンパッションに対する抵抗は薄れているはずだ。
家を出て職場に向かう途中に、心のなかでこう唱えてみよう。
〇〇(あなたの妻の名前)が幸せでありますように。
今日という一日が〇〇にとって、幸せなものでありますように。
〇〇の人生が幸福に満ちたものでありますように。
家から出る時、職場に向かう電車の中、歩いている時、妻が出かけるとき、あらゆるタイミングで妻にコンパッションビームを送ってみよう。
数週間続けていくと、妻に対する感謝の気持ちが芽生えていく。
・いつも美味しいご飯をありがとう
・いつも家事をしてくれてありがとう
・いつも育児をしてくれてありがとう
・いつも子供の宿題のチェックをしてくれてありがとう
そういった感情が心に浮かんだら心の中で言葉にしてみよう。それはあなたが感じている自然な感情であり、矯正されたものじゃない。素直に感じていいことだ。
もし、そう感じられないならば、セルフコンパッションが足りないために、気持ちに余裕がないのかもしれない。その時は前回の記事に戻って、セルフコンパッションを習得しよう。
こちらの東京成徳大学大学院 准教授 石村先生ご出演回もセルフコンパッション習得に役立つはずだ。ぜひ、何度も聴いてほしい。
自分から自分に思いやりを向ける時と、自分から他者に思いやりを向ける時は、脳の中の同じ部位が反応している。脳はそれらを区別できないため、セルフコンパッションに慣れれば、妻へのコンパッションは容易になっていく。
結局のところ、「思いやり」とは訓練次第で習得できるスキルなのだ。もし、それがどうしても難しい場合は発達障害を抱えている可能性がある。だが安心してほしい。自身が発達障害者であり、支援を続けている広野ゆいさんは「共感はできなくても理解はできる」と語っており、発達障害者であっても夫婦関係に向き合うことは可能なのだ。
こちらが広野ゆいさんご出演回。ぜひ聴いてほしい。
広野ゆいさんのNPO法人DDACはこちら。定期的に相談会も実施している。
感謝のワークは手帳を使うことをおすすめする。トレーニング期間中、僕は他者への感謝を毎日3個書きとめていた。その中の最低一個を妻への感謝としてみよう。
具体的な感謝を文字として手帳に残すのだ。書いている時や読み返している最中、妻への感謝の気持ちが広がり、自然とあたたかな気持ちへとシフトしやすくなる。
これおすすめ!ぼくは妻への感謝を書いてるけど、思いやりを持ちやすくなるんですよね。
@jibunjiku_p note.com/jibunjiku_p/n/… 自分軸手帳が考える、「”習慣化”が人生を変える理由」とは|自分軸手帳公式 2024年で発行4年目を迎えた「自分軸手帳」では、「自分軸を育てる、仲間と育てる」を合言葉に、手帳の発行やオンラインコミ note.com
このポストで触れた記事では、夫への感謝を手帳に書くことで起こった変化がつづられている。
そこで最初に手を伸ばしたのは、パートナーシップや夫のトリセツといった、たくさんの本たち。ところが、様々な情報に触れれば触れるほど、やっぱり一発逆転できる方法なんかないという現実がわかってしまった。やっぱり、日常で小さく変化し続けるしかないんだな、って。そこで、毎日1つずつ「夫への感謝」を手帳に綴ることを決めました。コツコツ続けるうちに夫のいいところに目を向けられるようになり、今は穏やかな夫婦関係を取り戻しました。私が「習慣化」の力を信じる大きなきっかけになった出来事ですね。
人は忘れていく生き物だ。そして、「思い」とは泡のように浮かんでは消えていく。大切なパートナーへの感謝の気持ちも。だから刻みつける必要があるんだ。毎日開いて眺める手帳だからこそ、その効果は倍増する。いつか「パートナーシップ手帳」を作りたいほど、僕は手帳の力を信じている。手帳には思いを実現させる習慣を定着させるパワーがあるからだ。
第三ステップ:妻への感謝を言葉にして伝える
最終ステージは、あふれる湧き水のような妻への思いやりを言葉として伝えるステップだ。
・いつも美味しいご飯をありがとう
・いつも家事をしてくれてありがとう
・いつも育児をしてくれてありがとう
・いつも子供の宿題のチェックをしてくれてありがとう
・いつも家族のことを気にかけてくれていてありがとう
コンパッションビームと感謝のワークを続けていれば、こういった感情が自然に湧き上がり、伝えることに抵抗感を感じることはなくなっているはずだ。
恥や嘘もそこにはないはずだ。
妻のセルフコンパッションが不足している場合、あなたからのコンパッションを拒否するかもしれない。もしくは、あなたに打算があるのではと妻は疑うかもしれない。
「いまさら優しくしたって私の気持ちは変わらないからね」
あなたの妻はそう言い、あなたは絶望に打ちひしがれるかもしれない。
だが、誰がブッダやダライラマ14世の慈悲を疑うだろうか?偉大な宗教家と自分を比べることはおこがましいが、コンパッションに満ちた存在としては同じ立場だ。他者への慈悲を感じる自分を、「あなた」が否定する必要なんかない。
与え続けるんだ。心から湧き出る妻へのコンパッションを。
ぼくは以前、妻にこう言われたことがある。
「冷たくなった夕飯を電子レンジで温めるあなたを見ると殺意を覚える」
意味がわからないと思うだろう。これは上の子が0歳から1歳の頃だ。妻は双子のケアで心身ともにボロボロになっており、家の中で気絶したこともあったほどだった。そんな時に僕が仕事から帰ってきて、「お疲れさま」と妻の苦労をねぎらわず、当たり前のように夕飯を温め、「美味しいよ」とも言わずただ黙って食べる様子を見て、妻はそう言ったのだ。
当時は僕も妻ほどではないにせよ、心身ともに疲弊し切っていたため心の余裕がなかったのだが、当時の僕には妻への感謝の気持ちを持つことも、言葉にすることもなかったのだ。
妻への感謝の思いを言葉にできない場合、自分たちの生活があまりにハードでないかを確認した方がいい。例えば子供が生まれたばかりで、まわりの助けを借りずにがんばりすぎていたり、仕事がハードワークで徹夜続きでないかなど。そういった場合はストレスが生まれないように環境を変えるべきだ。
仏教では「問題は独立して存在しておらず、それぞれが相互に依存し合っている。そして、問題を引き起こす原因と条件を消せば、問題も消滅する」と考える。課題を感じたら真の原因とそれを引き起こす前提条件は何なのかを考える癖をつけよう。
また、自分に思いやりを向けることも忘れてはいけない。酸素マスクは自分からつけるんだ。でないとパートナーを助ける前に自分が酸欠で気を失ってしまう。だからこそ、妻へのコンパッションの前にセルフコンパッションが重要になるんだ。
まとめるとこうだ。まずはストレスを発生させる原因と条件を消す。次に自分に思いやりを向けるセルフコンパッションを実行、その後に妻以外の他者にコンパッションを向け、他者へのコンパッションに慣れる。次に妻へのコンパッションを心の中で行う(コンパッションビーム)、最後に言葉にして妻にコンパッションを伝える。
もし、うまくいかない時はどこかでつまづいているはずだ。以前のワークに立ち返りながら、順番にクリアしていこう。
「妻からの見返り(優しさや気づかい)がない」とぼやく人もいるが、そもそもコンパッションとは見返りを求めないものだ。他者のために行動する利他的思想が根元にある。それはガマンではなく、セルフコンパッションを通して、自然とそういった思考へと変わっていくのだ。
結局のところ、妻との関係改善とは「利己的から利他的へと自分を変容させる旅」なのだ。どうか好奇心と寛容さをたずさえて、その旅を心から楽しんでほしい。
時には荒波にもまれ、進路を見失いそうになる日もあるだろう。そんな時はこのニュースレターを何度も読み、夫婦関係学ラジオを何度も聴き返すことをおすすめする。コンパッションの「共通の人間性(Common Humanity)を感じられるはずだ。
あなたは一人じゃない。あなたが抱えている苦しみは誰もが抱えている。過去、現在、未来にわたり、多くの人があなたと同じような苦しみを抱いてきた。
だから、大丈夫。あなたは一人ぼっちなんかじゃない。あなたは自分に優しさを向けてもいいんだ。自分に思いやりを向け、前へと進む力に変えていこう。
僕はあなたとともにある。一緒に進んでいこう。
今週はここまで。いよいよ次回が夫婦関係学ラジオシーズン1のファイナルだ。ぜひ来週月曜(6/10)朝5時配信の夫婦関係学ラジオを聴いてほしい。
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