回復率70%超え!脅威のカップルセラピー 感情焦点化療法!その実践的な内容とは?
今回も感情焦点化療法の生みの親、スー・ジョンソンの著作「私をギュッと抱きしめて」を扱う。今回は夫婦が情緒的共鳴を起こすための実践編だ。
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もし、ここに書かれていることの実現が難しいと感じたら、ぜひ前回の第一から第三の会話に立ち返って欲しい。そこにあなたの夫婦関係を改善させる基本的な鍵が存在するはず。
今回のアツの夫婦関係学ラジオはこちら。
#554 回復率70%超え!脅威のカップルセラピー 感情焦点化療法!その実践的な内容とは?
第4の会話:私をギュッと抱きしめて
第四の会話「私をギュッと抱きしめて」はちょっと言葉の意味がわからないかもしれないが、簡単に言うと「愛するパートナーに対して積極的かつポジティブに関わるパターンの生み出し方」だ。
第一から第三の会話では2人を引き裂くネガティヴなパターンを学び、これからはポジティブなパターンを学んでいく。
第四の会話は前後半に別れており、前半は「私は何が怖いのか?」、ここではさらに深く自分の感情に降りていく。後半は「あなたにどうして欲しいのか?」だ。
詳しく見ていこう。
第三の会話「不安定な瞬間に立ち返る」では、不安や孤独感など柔らかな気持ちにアクセスした。第四の会話の前半では、その気持ちは具体的にどんなことで、その気持ちが湧き上がることでどうなることを恐れているのかをはっきりとさせる。
自分の気持ちに触れることが怖い。素直な気持ちを受け止めることが怖い。そこに不安定な感情があることは分かるが、それがなんなのか明らかにさせることが怖い。
では、なにを恐れているのか?
もしかしたらそれは、完璧な妻や夫でなくなること、自分に自信が持てなくなること、感情的に不安定なパートナーを前にしてどうしていいかわからない無能感、大切なパートナーを失う恐怖感かもしれない。
パートナーに対する安心感や信頼感がなく、そして普段の生活のなかで自分の素直な気持ちにアクセスする習慣がないと、この作業は難しく感じるだろう。ぼくは簡単なマインドフルネスで素直な気持ちにアクセスするようにしている。
緑のある公園をゆっくりと歩き、自分の心のなかに降りていく。寂しさ、嫉妬、焦り、認めたくなくて情けない感情がそこにはある。それらに良い悪いのジャッジをせず、ただ受け止める。
すると、ああ自分はこんなことを感じていたのか。こんなことを怖がっていたのかと、手に掴むように把握できるようになる。人によってはジャーナリングや誰かに話を聞いてもらってもいいかもしれない。
ぼくは個人相談を受けた時に、柔らかな気持ちを相談者から引き出すため、あえて何度も質問をする。
なぜそう感じたのか?なぜそうしたのか?と何度もたずねることで、やっと素直な気持ちが顔を出すからだ。
そして、その恐れをとらえることができたら、言葉にしてパートナーに伝える。今まで感じていた情緒的な不安感は消え、パートナーに対する愛着が相手に届くはず。
もし、ここでパートナーがこちらの自己開示を受け止めない場合、もう一度、第一から第三の会話に立ち返ろう。愛着のメッセージは2人の間に信頼感が作られていないと届けることができないからだ。
パートナーの恐れを受け止め、理解し、共鳴し合うことができたら、後半パートである「あなたにどうして欲しいのか?」に移る。
これは簡単に言うと、パートナーへの愛着的な欲求、つまり具体的にして欲しいことを素直に伝えるのだ。
僕が完璧な夫でなくてもそばにいて欲しい。
僕が間違ったことをした時や、きみを傷つけてしまった時に、僕から離れないで欲しい。
私の性格を受け入れて欲しい。
私が自信を無くしたとき、打ちひしがれた時に、そばにいて欲しい。
私を抱きしめて大切な存在だと言って欲しい。
自分の中にある愛着欲求を見つけ出し、それをお互いに伝え合う。拒絶される恐怖を乗り越え、自分の感情を正当なものであると認めることで、お互いを傷つけることなく自己主張ができるようになる。
信頼感で結ばれた2人が、お互いの愛着欲求を言葉にし、受け止め合った時、そこに深い情緒的融合が起こる。お互いの感情を体感できるようになり、共感を超えた結びつきが生まれ、2人はお互いの感情を共鳴し合う。
僕ら人類はミラーニューロンと呼ばれる神経細胞のおかげで、相手の感情を自分のものとして感じることができる。相手が悲しんでいれば自分の脳も同じように悲しみを感じるようにできている。
素直な感情を共鳴し合うとき、このミラーニューロンが大きな力になってくれる。
ミラーニューロンは、自分が行為を実行するときと他者が同じ行為を行うのを観察するときの両方で活動する神経細胞であり、1990年代初めにイタリアの研究グループによってサルの脳で発見された。人の脳の一部(下前頭回や下頭頂小葉など)でも活動が報告されている。
ミラーニューロンの凄さは単なる視覚的特徴に反応するのではなく、行為の意図や目的まで処理している点だ。相手が悲しんでいる様子を見たとき、「悲しんでいる様子」を視覚的に情報処理するだけではなく、「なぜ?」悲しんでいるのか、その理由まで脳が処理できるのだ。人の共感を生み出す神経基盤だからこそできることだ。
付け加えると、ミラーニューロンの発火条件には「距離」が関わっているという。
このほど、ミラーニューロンについて新たな発見が報告された。それによると、一部のミラーニューロンでは、他者の行動を見た時に発火する[活動電位を発生させる]だけでなく、行動を取っている他者と自分の間にどれだけ距離があるか、さらには、その行動に何らかの反応を返せる状態にあるかどうかといったことも発火に影響するのだという。
どういうことかというと、妻が悲しんでいたとしても二人の距離が遠かったり、二人の間に物理的な障害物(透明な仕切りなど)があったり、精神的な距離(夫婦仲がこじれており心理的な壁を感じているなど)がある場合、ミラーニューロンは活動しにくくなるのだ。
また、自閉症スペクトラム障害(共感性が低い発達障害、通称ASD)ではミラーニューロンシステムの機能不全が関与している可能性が指摘されている。自分のパートナーが生まれ持って共感性が低い場合、ミラーニューロン機能不全の可能性もある。
発達障害に関しては、過去の夫婦関係学ラジオで発達障害支援を行うNPO法人DDAC代表広野ゆいさんにインタビューしている。パートナーが発達障害の場合の付き合い方もお話しされているので参考になるはず。
僕はミラーニューロンが生み出す情緒的共鳴を「相互理解の快感」と読んでいる。バンドやオーケストラの音がバシッと合った時のような快感、お互いに分かり合えた!という強い団結感、それが身体中を駆け巡るその感覚は快感以外の何者でもない。
僕は学生時代にバンドでドラムを担当しており(先輩から演奏中にドラムセットを蹴られるくらい下手だったが)、メンバーの音がバシッと合い、サビのタイミングで全員の感情が一気に高まるその瞬間は最高の快感だった。
第5の会話:傷つけられたことを許す
パートナーという自分を支え守ってくれると信じている相手に傷つけられる事は、とてつもなく大きなトラウマとなる。
ハーバードメディカルスクール精神医学部教授のジュディス・ハーマンは、トラウマ性の傷は人とのつながりを侵害するときに深刻になると言っている。
夫婦間におけるトラウマは、トラウマを与えた方にとってはとても小さな出来事が発端のように見える。だが、相手にとってはとてつもなく大きな衝撃を感じるものなのだ。
病気の発覚、不倫、仕事でのつまずき、そういった精神が不安定になったときに、相手からの支えがないと感じられたならば、トラウマへとつながっていく可能性が高くなる。
実際のところ、傷つきの原因は不倫などの直接的な出来事にないことが多い。見捨てられたと言う感覚、つまり情緒的飢餓が直接的な原因である。
夫婦にとっての最初の目標は許すことだが、許すことはそう単純ではなく、心からそう感じる必要があり、許すだけではなく、「また相手を信じられるようになる関係性」も必要だ。
許すための会話は六つのステップに分かれている。
一つめは、自分の心の痛みをできるだけ素直にわかりやすく話すこと。
第一から第三の会話ができていれば感情的に怒ることもないはず。気持ちをうまくまとめられないなら、感じていることを素直にノートに書き出してみたり、緑の中を腹式呼吸(鼻から空気を吸い込んで口からゆっくり吐き出す)しながら散歩し、自分の感情にいい悪いのジャッジをせずにただ感じるトレーニングをしてみよう。
相手に「伝える」ことに抵抗があるなら、手紙の形で紙に書き出してみよう。台本があればうまく伝えられるはず。完璧な台本じゃなくていい。ただ話したいトピックを箇条書きにするだけでも十分だ。
もしくは心のモヤモヤを種類ごとに分類して別々に書いてもいい。
①起こった出来事
②それに対する自分の気持ち
③その出来事が起こった時自分はどうしたか
④その出来事が起こった時、どうすれば気持ちは鎮まると思うか
など分けて書き出すと気持ちが整理できるはず。
もし、いきなりパートナーに話すことが怖いなら、友人など話を聞いてくれそうな人に予行練習相手になってもらおう。スピーチと同じで何度も話せばパートナーにも話せるようになるはず。
二つめは傷つけた方が相手の気持ちに寄り添い、相手の痛みを認めること。
傷つけた側が相手の痛みを認められないならば、傷つけられた側が当時どういう思いだったのか想像をしてみよう。夫婦関係がこじれている場合、片方の共感性が低かったり、自分本位になっていて相手のことを考えられない性質であることも多い。
そんな時は第三の会話「不安定な瞬間に立ち返る」に戻った方がいい。特に四つ目のポイントが重要だ。僕らはあまりにも「自分の言動によるパートナーへの影響力」に鈍感だ。僕もこのポイントを忘れがちだ。
4つ目は、自分がいかに相手の気持ちを左右するかに気づく。ネガティブループに巻き込まれ、怒りの感情の最中にいるときには気づきにくいが、夫婦喧嘩のほとんど原因はここにあるし、親子関係の葛藤の原因の理由の一つもこれにあると思う。自分が何気なく発した言葉が、相手の「愛されたいと願う気持ち」を大きく傷つける。夫婦の距離は、僕らが持ってるよりも近く、それが故に相手を傷つけてしまうことがある。その事実に気がつくことができれば、もう少し上手にコミニケーションを取れるようになるはずだ。
三つめは傷つけられた側が「二度と許さない」という考えを取り消し始めること。
傷つけられた側が気持ちを素直に伝え、傷つけた側が相手の痛みを受け止めることができれば、許しのステージに入ることができる。
もし、許すことがとても難しく感じるならば、一つ目と二つ目のステップに戻ろう。怒りや落胆などのネガティブな感情から離れて、本当はどういう関係性を築きたいのか考えてみるんだ。そして、傷つけた側はパートナーの傷を見て見ないふりをしてはいけない。そこに立ち入ることは苦痛を伴うだろう。だが、その苦痛の先に相互理解の快感が待っている。
もし、トラウマのフラッシュバックがきつい場合はトラウマ治療専門家に遠慮なく頼ろう。EMDRなど治療効果の高い診療療法が存在する。
四つめは傷つけた側が自分が相手に傷を負わせたことを認め、後悔や反省の気持ちを伝える。
夫が妻の苦悩に対して共感する「フリ」をするケースがある。妻の言葉をオウム返しに繰り返したり、黙って聴いたり、そういったテクニックを使えば「共感していることになる」と考える男性がいるが、逆に信頼を失うだけだ。
女性の話を聴くと、そういったニセの共感は100%分かるのだという。僕ら男性が思っているよりも女性は夫の心理を見抜いているのだ。
心からの後悔や反省の表現にマニュアルなんて存在しない。それぞれの人間にしか表現できないオリジナルなものであるはずだ。
もし、それが出てこないのであれば、第一から第三の会話に何度も立ち返ろう。
五つめは第四の会話「私をギュッと抱きしめて」の会話である「自分が今何を必要としているのか」を相手に伝え、以前の対応とは違う対応を相手に頼む。
ここまで来れば怒りなどのネガティブな感情抜きで、何をして欲しいかを素直に話せるようになっているはず。
パートナーも素直にその要望を受け止められるようになっているはずだ。
六つめは心の傷となった出来事が、どのように起き、どのように信頼を失わせ、なぜ「悪魔の対話」に至ったのか、その経緯を振り返って把握することだ。
過去の悪いループを振り返ることで自分たちを俯瞰することができ、過去のパートナーの言動を過度に否定することもなくなるだろう。
仕事でもトラブルが起こったら振り返りが必要だ。過去の案件を整理し、誰が悪いなど悪者探しをするのではなく、なにが悪かったのか、事実をはっきりさせる。
その際に重要なことは人を断罪しないことだ。なぜ、その人がそういった行動を取ったのか?そこに至る心理的背景は何なのか?そこを好奇心を持って探求することが大切だ。
仕事においても、犯人を作り上げ、罪をその人間に被せることでトラブル解決を図るケースがまれにあるが、根本的な原因探求ができておらず、同じことが起こる可能性だけが取り残される。
そして、同じことが起こった際、別な人間が犯人となるのだ。心当たりがある人もいるはず。ぼくもそんな組織にいたことがあるし、犯人にされたこともある。
だが、それでは何も解決しない。夫婦においてもそうだ。
パートナーに罪状をたたきつけるために振り返るのではない。自分たちがお互いに大切にし合うために、幸福を感じられる夫婦関係を作るために行うんだ。
それを忘れちゃいけない。
もちろん、パートナーから受けた心の傷がうずくこともあるだろう。だが、それでいいんだ。誰もが傷を癒しながら、夫婦という日々を歩いて行くんだ。スー・ジョンソンもこう言っている。
傷は許されることはあっても消えることはない。再生と結合の証として夫婦の変遷の中に組み込まれれば上出来なのである。
第6の会話:身体接触による絆
セックスは深い情緒的絆を生み出すが、性的満足度を高めるものはセックスそのものではなく、不安のない関係性だ。
アメリカン大学性教育専門家バリー&エミリー・マッカーシーの調整によると、幸せな夫婦は自分達の幸せの15~20%だけが良い性生活のおかげだとしているのに対し、不幸な夫婦は自分達の悩みの50~70%が性的な問題のせいだとしている。
これはパートナーシップにおける問題点が最初に現れるのが性的な問題だからだ。信用できない人間を抱くことはできないし、抱かれることもできない。性的満足度を高めることなんて論外だ。
性的親密性を高めるものは、精神的親密性の構築、お互いの感情への波長合わせ、そして、お互いに理解し合えることで生まれる情緒的共鳴だからだ。
夫婦が性の問題を話し合い、解決へと導くには第一から第五の会話をマスターすることはもちろんだが、三つのセックスについて理解しておく必要がある。
それは「セックスのためのセックス」、「慰めのセックス」、「共鳴するセックス」だ。
「セックスのためのセックス」とは、オーガズムの達成や性的テクニックへの自己満足に気を取られ、単なる性的興奮しか見えていないセックスだ。これは、他者と親密な関係を築きにくい人間が陥りやすい。
「慰めのセックス」は愛されているかわからないという不安を軽くし、自分が相手の価値を認められ求められていることを確認するためのセックスだ。愛着不安を消すことが目的なのでセックスを楽しむことはできず、次第に義務的になり、悪魔の対話にも陥りやすくなる。
「共鳴するセックス」とはセックスのあるべき姿であり、通い合う心、身体的な喜び、エロティックな性的探求のすべてが同時に起こるセックスだ。心と体が満たされ、二人を強く結びつける。
「共鳴するセックス」を実現させるためには、性的な好みや欲求を素直に伝え合う必要があり、そのためにはやはり信頼関係が欠かせない。ネバダ大学の心理学者デボラ・デイビィスとコーネル大学のシンディ・ハザンの研究によると、しっかりした愛着で結ばれた夫婦は自分の欲求や好みを素直に伝えられ、相手との性的なチャレンジにも前向きであるという。
僕らはついセックスの問題を先に解決しようとするが、そこにある課題は信頼感の欠如なのだ。第一から第五の会話を経て、やっと性の問題を夫婦は話せるようになる。
第7の会話:愛を持続させる
夫婦カウンセリングは再発率が高いと言われている。アルコール依存症の患者が何度もお酒に手を伸ばしてしまうように、幾度もそして様々なカウンセラーの元を訪れる。
だが、深い愛着とは自転車の乗り方に似ており、一度きちんとした乗り方を覚えれば倒れることはない。どんな坂道が来ようが、風が強い日だろうがペダルを漕ぎ続けることができる。EFTを受けたカップルの70%が回復するのはそのためだろう。
スー・ジョンソンも著書にこう書いている。
たぶん、深い愛着というのは恋人たちを来る年も来る年も結びつけるほど力強いものなのだろう。私たちの調査でも、感情焦点化療法で幸せをつかんだ夫婦はストレスに遭遇しても幸せを手放さないことが判明している。
EFTの柱である「接近・応答・関与」は愛を「作り」、「持続」させてくれる。ただ、外国語習得と同じで使わなければ忘れてしまう。
では、どうやって愛の言語を忘れずに済むのか?そこには7つのステップが存在する。一つめは、危険な箇所を回避する。危険な箇所とは悪魔の対話のこと。つい足を踏み入れてしまうネガティブループ。その入り口に存在する悪魔の対話に気がつき、避けることだ。
「あなたがこういうことをすると悲しい気持ちになる、腹がたつ。だからこうしてくれない?」「起こっている時は、何が嫌だったのか説明して欲しいな」など迂回路と呼べる会話を用意し、実践すれば悪魔の対話を回避できるようになる。
2つ目は結びつきの瞬間を讃えること。相手から大切にされた瞬間の喜びを伝えるのだ。
一緒に散歩したことが嬉しかった。
大切な夫と言われた。
大切に思っていると言われた。
など心が一つになったと思えた喜びをパートナーに伝える。
日本人の多くがこれができていないし、された方もなかなか慣れないと思う。だが、これは習慣化で達成が可能だ。
手帳に結びつきを感じた瞬間を書き記し、寝る前にパートナーに伝えるなど。実際、僕はスマホのメモ帳に妻との心理的結びつきを感じた瞬間を書き、妻に伝えるようにしていた。2年以上経ち、今では毎日寝る前に結びつきを感じた瞬間の共有と感謝を伝え合っている。
僕が体調を崩さないよう、栄養バランスに気をつけたお弁当を毎日作ってくれることが嬉しい。
一緒に桜を見に行けたことが嬉しかった。
妻からは、「いつもケアをしてくれようと意識してくれていることが嬉しい」と言われる。
思っているだけでは伝わらない。2人の気持ちが一緒になった喜びを伝え合うんだ。
3つ目は別れと再会の儀式。朝起きてからのキス、行ってらっしゃいのハグなど、恥ずかしいと思うだろうがこれも習慣だ。半年もやれば慣れてくるし、なくてはならない儀式になる。
この儀式はパートナの大切さを伝えるメッセージであり、自分たちが愛を感じ合える儀式だ。仏教における念仏、キリスト教における祈り、そういった宗教的儀式に近い2人だけの儀式が絆を強め、愛を持続させるのだ。
4つ目は安心第一だ。パートナに愛着不安を伝え、相手がそれを受け止め、二人が心理的安心感を感じること。そうすることで日常生活の中の葛藤は解決がしやすくなる。
5つ目は関係修復の物語を作ること。悪魔の対話に陥ると事実は捻じ曲げられ、相手への恨みが増していく。本当はパートナーが大切な存在であるにも関わらず、相手を陥れようとばかり考えるようになる。悪魔の対話がいかに自分達を不安定な状態に誘い込んでいたか、そしてそこからどうやって抜け出したか、それらをまとめたものが「関係修復の物語」だ。
自分達に起こった出来事を振り返り、関係が修復するまでの道のりを物語として語り続けよう。
6つ目は「将来の愛の物語」を作る。例えば起業をしたい、転職をしたい、新しいチャレンジをしたいなど、もう1人子供が欲しいなど、5〜10年後の夢を語り合うのだ。
多くの人が第一から第三の会話ができていないのに、いきなり「将来の愛の物語」を語り出す。夢を持つことは悪くないが、パートナーがそれを自分ごとのように受け止めるためには、信頼という基礎が必要になるのだ。
二人に信頼感あれば受け止めてもらえる安心感が生まれ、しなやかな自己主張がしやすくなり、新たな挑戦をパートナーが受け入れてくれやすくなる。
7つ目は良い変化を手放さないこと。今までの会話を通して、夫婦関係をコミュニケーションから感じられる感情は別のものへと変化したはず。怒りではなく、相手の意図を理解しようとする姿勢。主張を諦めるのではなく、しなやかにポジティブに伝える。
その新しい感情を理性に格納し、新しい常識を作っていくのだ。人は感情を脳の扁桃核で直感的に感じる。その感情からのメッセージを理性がつかさどる全部前頭葉に格納する。
以前ならパートナーとのやり取りで、直感的な怒りを感じていたはずだ。パートナーの言葉に脅威を感じ、扁桃体がアラームを鳴らす。危険!危険!戦え!逃げろ!
でも今はそうじゃないはず。相手の言動の意図を理解し、やわらかくその言葉を受け止め、こちらから言葉を投げ返す時も、柳の枝のようにしなやかに優しく返せるはずだ。
新しく感じるようになったその感覚を何度も反芻し、脳を作り変えていくんだ。神経回路を作り変えることで、あなた達の愛は途切れることのない線路のように、どこまでも永遠に続いて行く。
回復率70%を超える脅威のカップルセラピー、EFT(感情焦点化療法)を実生活に組み込むことは十分可能だ。もし、うまくいかないと感じるなら第一から第七の会話のどこかでつまずいているはず。前回と今回の記事を何度も読んでいただき、つまずきの箇所を探し出してみよう。
もしかしたらあなたは、EFTを扱える心理士について興味があるかもしれない。どこでEFTカップルセラピーが受けられるのかと。僕が知っているのは夫婦関係学ラジオに何度も出演頂いた上遠文恵さんだけだが、これから探し出して夫婦関係学ラジオでご紹介していきたいと思っている。
その時は聴いていただけると嬉しいです。
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