別居、離婚、再婚ーーそれは終わりではなく、新しい関係のはじまり。

人は離婚を悲劇的なものと考える。人生にバツがつく。失敗した人生。ダメなやつ。だけどそんなことなんかない。それは自分の人生を必死に生きた証なんだ。人の人生に、バツなんか、ありやしないんだ。
アツ@夫婦関係学ラジオ 2024.07.05
誰でも

今回は2週に渡り、別居、離婚、再婚を経験したサチヨさんの人生をお送りした。

サチヨさんのお話に僕が下手なコメントをつけることなんかできないと思ってる。必死に生きた彼女の人生に僕はただ聴き入ってしまった。


今回のニュースレターでは、後半のお話のなかで印象的だった3つのトピックを取り上げる。離婚を考えたことがある女性、妻から離婚を切り出された男性には参考になるはず。

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パートナーとの現在時点を定点観測する

サチヨさんは当時を振り返ってこう言った。

「義両親とばかり仲良くするんじゃなくて、私たち夫婦がお互いに何を感じているのかをシェアすればよかった」

結婚生活は変化の毎日だ。新鮮な感情はやがて薄れ、日常がすぐにやってくる。ホルモンの影響で恋愛感情は3〜4年で切れる。人はパートナーを以前よりも大切にしなくなるのだ。それは僕も含め誰もがそうだ。生物である限り、付き合いたての感情のまま老いていく夫婦はいないだろう。

人は誰もが変わる。

僕らはそんな当たり前のことをつい忘れてしまう。

気持ちは伝えないとわかってもらえない。

それもまた、僕らは忘れがちだ。

だからこそ、パートナーの現在地点を確認する必要があるのだ。うしろを振り返り、パートナーが今どこにいるのか探す。少しうしろを歩いているのか?それとも、はるか見えない場所にいるのか。

あなたは今どんな感じ?どんなことを考えているの?わたしはこんな感じだよ。

相手の気づきを、変化を、悩みを、葛藤を受け止める。そして、自分も伝えるのだ。

わかってくれやしないよ。あなたはそう思うだろうか?もしかしたら、相手はまず自分のことをわかって欲しいと願っているのかもしれない。

誰もが自分のことをわかってほしいと思っている。なぜならこの国の教育は否定から入ることが多く、家庭でも学校でも「受け止める」体験の提供が少ないからだ。

「気持ちを伝える」体験だって少ない。事実を伝えることはできても、自分の素直な気持ちを言語化することに抵抗を感じる人は多いだろう。僕だって自分の感情を素直に表現できるようになったのは、結婚して数年経ってからだった。

余計なことは言わない方がいいんじゃないかな?

どうすべきかはすぐ思いつくけど、どう感じているかはわからないな……。

自分はなぜ、そんなことを考えたんだろう……。

表現と受容への抵抗が夫婦の距離を作っていく。だけど、怒りに翻弄されるネガティブループに気をつければ、僕らはもっとさわやかなコミュニケーションが取れるはず。僕はそう信じている。

カップルセラピーをおこなう心理士さんたちはプライベートの場でもとても穏やかだ。まるで「Calm」と書かれたカーディガンでもまとっているかのように落ち着いている。

自分が伝えたいメッセージを伝えるとき、彼らは媚びるでもなく、攻撃的になるでもなく、やわらかに、そしてさわやかに言葉を発し、目線、口元の動き、ジェスチャー、すべてを使ってコミュニケーションを取るのだ。僕はそれを目にするたびに、こうありたいと強く感じる。

彼らは表現と受容の達人だ。どうすれば彼らのようになれるのかまだわからないが、相手の言葉の真意を理解しようとする姿勢や、どんな考えであってもそこに寄り添おうとするしなやかさが関係しているんじゃないかと思う。

自分とパートナーの現在地点を把握する時にもそれは役立つはず。その定点観測が広がりそうになる二人の距離を縮めてくれるはずだ。

NPO法人ArrowArrow代表 海野千尋さんという方がいる。海野さんは「家族サミット」と呼ばれる夫婦間の話し合いを年末におこなっており、それが夫婦の定点観測になっているという。ちょっと先になるかもしれないが、ポッドキャストインタビューをさせていただく予定だ。今回の話と合わせて聴くと理解がしやすくなると思う。

修復ではなく新しい関係作り

サチヨさんは再婚後、元夫に会いにいく。それは関係修復ではなく、新しい関係を作るためだ。「修復」という言葉には「元に戻す」という意味合いが含まれる。だけど、「元の姿」が自分たちに合っていない場合、修復を目指すことは無意味だ。

離婚していない夫婦であっても、「修復」ではなく、現在の自分たちの変化や状況に合わせた「新たな関係作り」といった方が、実は実態に合っているのかもしれない。

たとえば、子どもが生まれれば以前の生活とは大きく変わり、体も心も大きく変化する。また、転職すれば仕事内容の変化によって、忙しくなったり逆に時間ができることもあるだろう。それから、新しい人との出会いによって生き方の変化もあるだろう。

自分とパートナーは刻々と変化している。その意識を持てば「元に戻す(修復)」ことに意味はないと気がつくはずだ。「今」の状況に合わせた関係作りが、その時その時で必要とされているのだから。

夫婦のガイドブック

サチヨさんは過去を振り返り、「もし、夫婦関係のガイドブックがあったら違ったのかもしれない」とおっしゃった。僕もそう思う。なぜなら、夫婦関係ってやつはトリッキーな存在だからだ。

お互いに強い影響を与え合う存在、幾つもの人生ステージ(出産など)の存在と強制的共有、社会変化の激しさゆえに役立たなくなる親世代の慣習、恋から愛への移行の難しさ。

夫婦関係をいい感じにキープし続けることはかなり難易度が高い。うちの子供たちがハマっているマイクラにはハードコアモードという設定があり、一度死ぬと一発でゲームオーバーとなる。やり直しがまったくできない鬼モードだ。夫婦ガイドブックがないまま結婚生活を送ることはハードコアモードに近い。

だが、ガイドブックがあれば話は違う。セーブポイントを作ることができ、ドロップしたアイテムもあとから回収できて、何度でもやり直しができる。

過去にも夫婦ガイドブック的な本はいくつも出版された。「妻のトリセツ」や「夫のトリセツ」などベストセラーとなっている。だが、やっかいなことに夫婦関係ってやつは時代によって変化する。

大家族から核家族へ、地域コミュニティ社会から孤立社会へ、円高化や円安へ(関係ないように見えるが収入確保のため働き方の変化が求められる)、多産から高齢少産へ、女性の役割への渇望の変化(社会進出によって、母であることだけではなく、働くことなど社会への貢献やつながりがアイデンティティと結びついた)などなど。

あげればキリがないほど社会の変容要素は多い。

それらに合わせた時代ごとのガイドブックが必要とされているのだ。もちろん本質を突いたマスタライズ版も必要だろう。

僕がKindle出版しようと思っているものは、時代ごとのガイドブックに近い。なんとか頑張って世に出すので楽しみに待っていただけると嬉しいです。

今週はここまで。来週の夫婦関係学ラジオでは、ユカさんの離婚と再婚のお話をお届けします。つい、家庭より仕事に夢中になってしまう人は男女問わず聴いてほしい。きっと参考になるはず。

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すっかり暑くなりましたね。皆さんもお身体にお気をつけください。では、また来週お会いしましょう!

追伸:

コメント返しがなかなかできてなくてすみません。。。

どうやればきちんとお返しができるか考えていますので、もうちょっとお待ちください。音声の方がいいのかもしれないけど、YouTubeに上げると編集時間がかかるので、LISTENの声ブログを使うか、それともテキストでお返した方がいいのか。。。

限られた時間の中できちんとリスナーの皆さんと向き合う方法を考えていますので、もうちょっとお待ちいただけると嬉しいです。

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