妻をケアする夫はなぜセクシーなのか?本質的なセックスレス解消方法とは?
今回、3人の女性ゲストをポッドキャストにお招きし、どういった時に夫を性的に魅力的の感じるかについて伺いました。夫婦関係に悩む全ての人にとって参考になると信じています。
今週のポッドキャスト「アツの夫婦関係学ラジオ」では、どういう時に夫をセクシーと感じるかというテーマで3人の女性ゲストにお話を伺いました。過去に例を見ないスピードで聴かれており、正直驚いています。
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今回のニュースレターでは、日本のセックスレス状況を前半にお伝えし、後半ではゲストたちの言葉を紐解きながら、妻から求められる夫になるための方法を書いていきます。今週もよろしくお願いします。
日本のセックスレス割合は6割を超えた。
1ヶ月以上、夫婦間でセックスがない割合は64.2%。日本のセックスレス割合は年々上がり続けており、2023年の調査では過去最高に達した。
1カ月以上、夫婦間で性交渉がないと答えた割合は64・2%となり、令和2年の前回調査の51・9%を大きく上回った。調査を担った日本家族計画協会会長で産婦人科医の北村邦夫氏は、同協会が長年取り組んでいる別の性に関する調査結果も紹介しながら「婚姻関係にある人たちのセックスレスに歯止めがかからない状況だ」と説明した。
男性の方がセックスレス状態にある傾向が高く、夫から拒否される女性よりも、妻から拒否される男性の方が多いことがうかがえる。こちらのデータは頻度ではなく、本人が「セックスレスであると感じる」という感覚値での調査となるため、感情面での男女差を知れる資料となっています。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000104522.html
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性的満足度の男女差を比較しても、男性の方が満足していないことがわかる。男性の32.1%が性的不満を感じているが、女性は18%のみ。「満足」の意味が「セックスがない現状への満足」も含まれるため、セックス頻度や行為に対する満足度指数ではないが、総じて男性の方がセックスに対する不満を抱えていることがわかります。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000104522.html
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年代別データを見ると、男女ともに30代が不満のピーク。おそらく妊娠、出産、子育てのど真ん中世代だからでしょうね。ぼくらも30代が最も悩んでいた時期でした。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000104522.html
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000012.000104522.html
まとめると、女性よりも男性の方がセックスレスに悩んでおり、その層は子育てが忙しい30代に集中している。妻から拒否される夫、夫から拒否される妻。どちらの方が多いのか今までベールに包まれていたが、この調査結果をもとにすると「妻から拒否される夫」の方が多いと思われる。
そして、僕ら男性はこういった性の悩みをフラットに話せる場を持っていないことが多い。僕もそう。こんな悩みを話せる人はちょっと思いつきません。だから、僕ら男性は性への悩みを自分の中だけに抱え、消化しようとする。妻への罪悪感と苛立ちの感情、損なわれた自尊心を埋める方法がわからず、ネットの海をさまよい続け、ちっぽけな自尊心を満たしてくれるXの投稿(その多くは人の脅威システムを活性化させるようデザインされている)に操られ、怪しいインフルエンサーやカウンセラーに騙される。
アメブロに溢れかえるセックスカウンセラーや復縁カウンセラー、Kindle Storeに所狭しと並ぶモテ本やセックステクニック本、そんなものは僕らには必要ない。夫婦の性を語れる場、自分の思いを言語化できる場、ちっぽけで情けない自分をそのまま受け止め、前へと向かせてくれる場。それがあればいい。
今回のポッドキャストにご出演いただいた3人の女性たちは同じコミュニティに所属しており、そこでのつながりがメンタルの安定に大きく寄与している印象をぼくは受けました。きっと、僕ら男性にもそんな場が必要なはず。素直になれない気持ちを言葉にし、自分の柔らかな気持ちに気がつくことができる場所が。いつかそんな場所を作りたいと思っています。
でも、今日はこの記事を読んで欲しい。このポッドキャストを聴いて欲しい。3人の女性たちが勇気を持って話してくれた「夫婦の性」は、僕らの道を照らす松明となるはず。なぜ、夫は妻から拒絶されるのか?どうすれば妻から求められる夫になれるのか?そのヒントが見つかるはず。
前後の文脈からメッセージを受け取って欲しいので、この記事では細かな内容までは立ち入りません。僕が「これは…!」と思った言葉を取り上げ、そこに感じる思いを書き記しています。どうか、ポッドキャストを聴いてからこの記事を読んで欲しい。
夫婦の性問題は、夫婦の幸福に直結する問題です。「セックスしている夫婦は幸福」という単純な話ではなく、セックスに辿り着く過程でぶつかるいくつもの葛藤を乗り越えて、夫婦は幸福になるのだ。ポッドキャストを聴き終える頃には、この言葉の意味が分かるはず。
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自分の心と体が満たされていないとできない。
僕ら男性はいつでもセックスができる。そして、女性も同じだと思いがちだ。僕もそうだった。だけど、女性は違う。放送内で何度も出てくるが、家事育児でヘトヘトになっている時にそんな気にはなれず、そしてさらに大切なのは「心が満たされているかどうか」だ。
かもめさんは仕事外の時間で好きなイラストを描いており、それがメンタル安定に繋がっているという。子供3人を育てながら家事育児仕事をこなせば、残っている時間なんてごく僅かだ。僕も3人の子供がいるからよく分かる。うちの妻も夜はヘトヘトになっていることが多く、趣味の韓国ドラマ視聴がメンタル安定に繋がっている。他には友達とのランチや飲み会もそう。
1日の中で僕ら親が自由に使える時間は限られている。子供が未就学児だと朝も夜も時間を取られるため、残された時間は1時間もないだろう。僕もこうやって定期的に記事を書くことができるようになったのは上の子が8歳になってからだった。他の男性も同じではないだろうか?子育てをしながらの自由時間なんてパンくずのように僅かなものだ。ジムに行ったりサウナに行っている同僚もいる。
その僅かな時間をセックスに当てることは僕ら男性には問題ないように思えるが、女性にとっては、特に家事育児比率の高い女性にとっては大きな負担となるのだ。体は疲れ果て、精神を安定させるための時間も奪われる。「体と心を満たさないとセックスはできない」これは僕ら男性は覚えておいた方がいい。
信頼感が無いと義務や処理へと変わる。
これも名言だった。男性にとってセックスは快楽であり、義務や処理と捉える人は少ない。妊活ならまだしも、楽しみのためのセックスに「義務感」や「処理」という感情がともなう?ちょっと僕ら男性には想像ができないと思う。でもそう感じている女性が実際にいる。妻は喜んでいると僕らが勝手に勘違いしているだけで、実は妻はその行為を「処理」と感じている。
なぜなのか?相手に対する信頼がないからだ。夫に対する信頼がないからだ。この人は私や子供のことを大切に扱っているのだろうか?そこに真の思いやりはあるのだろうか?だたセックスがしたいだけの打算ではないのか?後半ではこんな言葉も飛び出した。
「セックスは一晩契約ではない。数十年に及ぶ長期契約だ」
セックスには妊娠のリスクが伴い、10ヶ月以上もお腹の中で子供を大切に育て、出産後すぐは働けない。保育園にはなかなか入れず、入れても熱が出れば仕事を切り上げるしかない。キャリアは閉ざされ、収入は減り、アイデンティティは音を立てて崩壊する。小学校、中学校、高校、大学、それぞれのステージで子育ての悩みは尽きず、自分のことは後回しになる。
もちろん、子供は可愛い。だけど、それだけで全てが帳消しになるとは当事者は思えない。自己実現は諦め、誰かのための人生が始まる。それが大人の条件ではあるとは思うが、それがたった一晩で決まるのだ。言われてみれば女性が慎重になるのは当然だ。僕ら男性にとっては一晩の快楽、女性にとっては将来が変わる一大イベントなのだ。
セックスの頻度を「数」で規定してはいけない。
セックスの話し合いをする時に数で決める夫婦は多い。週に一回、月に一回など。頻度を決めるのだから「数」を用いるのは当然と思えるが、実はセックス頻度は「数」で規定してはならないという話で番組は盛り上がった。月に2回と決め、その日が近づいてくると夫の家事育児が「セックスのため」にしか見えなくなってくるという。数で規定した途端、それは義務となる。
ケアの目的はセックスではなく、その人の苦しみを取り除くことそのものにあるはず。ケアはセックス実現のための交渉手段ではなく、妻への慈愛の心の表現なのだ。夫がキッチンで料理をする姿がセクシーという話が出たが、単にかっこいいという話ではなく、「妻の支えになろう」「妻のために何か一つでもしてあげたい」という慈愛の気持ちが溢れて出ているため、夫婦間の親密度を上げ、妻に対する夫の性的魅力を倍増されているのだ。オリーブオイルを高い位置から垂らしても、塩を大袈裟に振り掛けてもセクシーには見えないだろう。そこに、妻への慈愛がなければ。
セックスの頻度を規定することは、セックスをするべきタスクとして妻に提示し、それが履行されない場合に妻に責任を取らせるための行為であるとも言える。セックスノルマを達成できなかったことは、果たして妻の責任なのだろうか?セックスができない、したくないと望む理由があるからではないだろうか?したくない人間に強いることは性犯罪に近いのではないだろうか?
では、どうすれば妻はしたいと思うのか?そのヒントは「当事者意識」と「共通言語の積み重ね」にある。
当事者になってくれる安心感が「好き」へと変わる。
当事者意識がなぜ性のトリガーとなるのか?そもそも当事者意識とはなんだろう?夫が妻と同じ目線に立っている。同じ目線で家事、育児、仕事、キャリアを考えてくれている状態だ。同じ目線を持っているから話し合いに齟齬は生まれず、連携もしやすい。「当事者意識」が夫婦には大切という話は夫婦関係の話にはよく出てくる。では、どうすれば当事者意識が生まれるのか?それが共通言語の積み重ねだ。
母子手帳はどこに保管されている?子供の持病は?かかりつけの病院は?よく飲んでいる薬は?残されている予防接種の予定は?習い事の送り迎えはいつ?子供の悩み事は?
二人がどれだけ共通体験を重ね、どれだけ言葉を重ねてきたか、その積み重ねがお互いの言葉と感情への理解を生んでいく。何も全ての家事育児を完璧にやれと言っているのではない。どれだけ同じ体験を重ねているかが大事なのだ。共通体験がなければ妻の言動の裏にある感情を自分ごととして感じることができない。
家事、育児、仕事で忙しい毎日、朝ごはんや夕飯を作る余裕がないけれど、栄養のあるものをお金をかけずにきちんと作りたい。妻がそう望んでおり、夫も理解をしていれば、自然とキッチンに立ち、妻のためにストック用の常備菜を作るようになるだろう。その愚直で真っ直ぐで見返りを求めない姿こそがケアであり、その慈愛の行動に女性は性的魅力を感じるのだ。
共通言語の積み重ねにより、二人はチームとなり、同じ地平線を見つめる。誰にも話せない、恥と罪悪感に塗りつぶされた気持ち、そんな柔らかな気持ちも夫に話せるようになる。そこには確かな信頼関係が存在するからだ。当事者意識、共通言語、信頼関係、妻を慈しみ気持ち、それらに裏打ちされたケアを無意識に実践する時、妻は夫を求めるようになる。
番組ではセックスに対する妻側の先入観の話も出た。僕はこのトピックは全く想像しておらず、女性心理を理解するのにとっても役立った。妻との関係に悩む男性にはきっと役立つはずだ。
夫のセックスを断ってはいけない、夫に心地よくいてもらうための努力する妻が「良い妻」という先入観
「良い妻」とは何か?女性はそこにステレイタイプな先入観を抱くことが多いそうだ。家の中で夫を心地よく過ごさせることができる妻が「良い妻」であるというイメージだ。昭和はとっくに終わり、平成も飛び越え令和の時代だが、地方では家父長制傾向が高くそういった先入観を持って育つことが多い。
僕の父方の実家もまさにそうで、従姉妹は「父に洗脳されていた」とこぼしたことがある。人は育った家庭の影響を無意識に受けるため、「自分を形作っているもの」が何なのか、一度整理してみるといいかもしれない。僕が受けているコンパッショネイト・マインド・トレーニングで、心理療法で使うというケースフォーミュレーション体験があったが、そこでも「自分を形作ったもの」を書き出すというワークがあった。これをやると確かに自分の思考の癖がわかるのでおすすめだ。
また、女性は「夫のセックスを断ってはいけない」という先入観もあるそうだ。本当は嫌なのに無理やり受けており、その嫌悪感がどこから来るのが自分でも分からない場合、夫への嫌悪感はどんどん溜まっていく一方だろう。「世の中の女性には夫から相手にされない人もいるのだから、たとえ自分が望んでいないとしても、夫から求められることはありがたいことなのだ」と、感じてしまうこともあるという。また、男性自身が「求められることはありがたいことだと思って欲しい」と発言することもある。
求められても、そこに共通体験、共通言語の積み重ね、当事者意識の構築、信頼関係の存在がなければ、妻の性のスイッチは入らないわけなのだが、「セックスの対象」となることを高く評価する社会的風潮がそこには影響しているかもしれない。確かに若く性的魅力に溢れた女性は高く評価され、エロティックキャピタルとも表現される。
ただ、「若さという前提条件」ありきの性的魅力に価値はあるのだろうか?年を重ね続ける僕ら夫婦という存在に、「若さという前提条件」は当てはまらないはずだ。ならば、他者から見た場合の「性の対象」という尺度は夫婦に当てはめることはできない。
妻は「夫のセックスを断ることに罪悪感を感じている」という前提条件を僕ら男性が持っていれば、妻の行動一つ一つに気を配れるようになるはずだ。妻は「本当は」どう思っているのか?本音が恥や罪悪感に覆い隠され、攻撃的になったり口を閉ざしがちになっていないだろうか?僕らはもっとそこに気を配るべきなのだと思う。
また、話は男女の物理的な力関係にも及んだ。
男は力が強く、男がセックスを無理強いした場合、断ることができない。女性の膣は閉ざされることがなく、男性がしようと思えばいつでもすることができる。そこに女性は潜在的な恐怖を感じている。セックスにおいて、男性は力関係において上の立場にいるのだ。だからこそ、妻は拒否できず、言葉にできない嫌悪感を夫に募らせていく。妻が拒否をしない場合、それは本心なのか、それとも恐怖ゆえの行動なのか、僕らはもっと注意した方がいいだろう。
セックスレスへの向き合いには「言葉」が必要
また、「言葉」についても話は盛り上がった。なんかモヤモヤする。なんか分からないけど嫌だ。誰もがそんな体験を持っていると思う。それをうまく言語化できないと夫や妻に攻撃的になりがちだ。自分の気持ちはなかなか自分で気がつくことができず、言葉という形にすることは難しい。友人に話す中で形になることもあれば、恥ずかしくて認めたくないこともあるだろう。
もし、自分がうまく感情を言語化できるからと言って、相手も同じようにできるとは限らない。妻が何か言いたそうにしているなら、そこに寄り添うことが重要だ。心の奥に澱のように溜まっている感情をすくい出し、一緒に形にする。こちら側が傷つくこともあるだろう。情けない思いを感じることもあるだろう。だけど、言葉にならない感情を放っておくと嫌悪感を増させることにつながる。
情けなくていい、恥ずかしくていい、脆くて、傷つきやすくて、口にするだけで涙が出てしまう柔らかな気持ちをパートナーにそっと渡すことができた時、僕らの関係は大きく変わるのだと思う。
共通言語、当事者意識、安心感、そして信頼感。これらがきっとあなたのパートナーの柔らかな感情を開いてくれるはずだ。
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