セックスの目的化現象!あなたが妻とのセックスレスを解消できない真の理由とは?

セックスレスを解消しようとした時、多くの人はセックスレスそのものを解決しようとする。だがそれでは失敗する。なぜなら、セックスレスは二人の課題の表層にしか存在しないからだ。真の課題に気がつき、セックスの目的を見出すことで、逆説的にセックスレスは解消する。セックスレスは「セックスを求めない」ことで解決が可能なのだ。
アツ@夫婦関係学ラジオ 2024.05.03
誰でも

今回の夫婦関係学ラジオでは、セックスレスを扱った。このトピックは過去何度も取り上げているが、今現在僕が考えているセックスレス解消方法について話したい。この話はおそらくこれからも僕の中でアップデートされるはず。そのたびにシェアしていきます。

今回の放送回「#556 セックスはゴールではなく手段!親密性の構築という目的を見失うな!」リンクはこちら。

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現段階で僕が考えているセックスレス解消ステップは次の3つ。

1. セックスをゴールにしない

2. 真に解決すべき課題を明らかにする

3. 相手のために、自分の恐れ、恥、情けなさと向き合う

順番に見ていこう。

セックスをゴールにしない

セックスレスを解消するのだから、「セックスすること」がゴールであるべきと、多くの人(特に男性)は考える。だけど、それは大きな勘違いだ。「セックスすること」が目的となると、妻からの信頼は加速度的に落ちていく。

例えば、妻とのセックスレスを解消するにあたり、「セックス頻度」を話し合いの議題にした人もいるだろう。

週に一回。2週に一回、月に一回だったらいいだろう?頻度を減らすという譲歩をしているのだから、君も真摯に応じるべきだ。

そう主張したことはないだろうか?もしくは考えたことは?

「#545 妻をケアする夫はなぜセクシーなのか?あなたの知らない「妻の心と体の扉」の開き方。」にご出演いただいたふるりさんは、「レス解消にあたり、頻度を求めることはナンセンスである」とおっしゃった。

なぜか?

セックスそのものが目的となってしまうと、それは義務となり、相手に無理強いさせる強制行為へと変わるからだ。レイプがどれだけ人の心を壊すかは想像に難くない。セックスを望まない妻にセックス頻度を提案することはレイプと同義と言ってもいい。

2020年度の内閣府の調査によると、女性の約14人に1人は無理やりに性交等された経験があり、加害者が配偶者であるケースは17.6%。被害女性の58.4%は誰にも相談しなかったという。

https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/html/zuhyo/zuhyo05-08.html

https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/html/zuhyo/zuhyo05-08.html

https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/html/zuhyo/zuhyo05-08.html

https://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/r04/zentai/html/zuhyo/zuhyo05-08.html

WHOのデータによると、世界の女性の約3人に1人(30%)がパートナーもしくは非パートナーから性的暴力を受けており、加害者のほとんどはパートナー(夫婦、恋人)であることがわかっている。

レイプ被害者の多くが、事件後にPTSD(心的外傷後ストレス障害)や急性ストレス障害、適応障害などの精神疾患を発症し、ある調査では被害女性の76.7%がPTSDと診断されている。

なぜ、ここまで多くの問題が発生するにも関わらず、男性がセックスレスを解消しようとするとき、セックスが目的化するのだろうか?

理由は三つある。論理的に解決しようとしていること、夫婦間のセックス義務意識、妻の本音を知らないことだ。

僕ら男性は問題解決にあたり論理的に考える習性がある。もちろん課題解決のためには論理的に考える必要はある。物事にはすべて原因と結果があり、原因をつぶせば結果を変えることができる。そして、「セックスレスの問題」は「セックス回数の少なさ」が原因であると考え、回数を変えれば問題は解決すると考えているのだ。

だが、本当の原因はなんだろう? 妻がセックスをしたくない理由はなんだろうか? そこに目をつぶっていないだろうか? そして、自分がセックスを望む本当の理由も。

セックスが目的化する二つ目の理由、それは「夫婦間セックスの義務意識」。あなたは夫婦ならばセックスするのが当然だと思っていないだろうか? 僕にもそう思っていた時期があった。だが、本当にセックスの発動条件は「婚姻状態」なのだろうか? なぜ結婚しているならばセックスするのが当然なのだろうか? 「結婚しているから」とは一体なにを意味するのだろうか?

もしかしたらあなたはこう思っていないだろうか?

夫婦とは愛し合っている存在なのだから、愛し合っている人間たちが自然とおこなうセックスを、自分たち夫婦もできるはずだ。

なぜ、「夫婦という婚姻状態にあるだけの存在」が「愛し合っている存在」と同義語になってしまうのだろうか? そうであるならば、世界中の夫婦が愛し合っている存在になっているはずだが、現実には世界中の夫婦は3〜4年で離婚するケースがもっとも多い。

もう一度考えてもらいたい。本当に夫婦は「夫婦であるというだけ」でセックスをすべきなのだろうか? もしかしたら、「愛し合っている存在」だからこそセックスをしたいと思うのではないだろうか? 自分たちに欠けているものはセックス回数ではなく、「愛」そのものなのではないだろうか?

セックスが目的化する最後の理由、それはあなたが妻の本音を知らないことだ。あなたはこう思っていないだろうか?

妻はセックスが嫌だというが、激しく嫌悪するほど嫌というわけではないだろう。疲れているからしたくないというだけで、そこまで嫌ではないはずだ。

朝ごはんが毎朝トーストだと嫌だから、たまにはふりかけをかけた白米が食べたいと言っているくらいのレベル感で考えていないだろうか?もしくは、外食選びで本当はイタリアンがいいのだけど、夫の好みに合わせてしかたなく和食を選んだといったようレベル感で、この問題を捉えていないだろうか?

あなたは妻がセックスに対してどう考えているのか、本当に理解しているだろうか?性に関する情緒的な話し合いをしたことがあるだろうか?

セックスを無理強いされる時、どう感じていたのか?断ることができない時、どう思っていたのか?

今までの性の話し合いは「頻度」ばかり話していたはずだ。セックスレスを解消しようと考えた時、確かに頻度の話がもっともしやすいだろう。だが、課題解決のためには、頻度という数値で測れる論理的思考ではなく、感情に焦点を当てた情緒的アプローチが必要とされるのだ。

妻がセックスを拒む本音の背景にあるもの、そして自分がセックスを望む本音の背景にあるもの。それらをシェアし、受け止め合うという情緒的アプローチが。

そしてこういった情緒的アプローチこそが、セックスレス解消方法の2ステップ目だ。

真に解決すべき課題を明らかにする。

ここまで来れば、本当に解決すべき課題は「セックス頻度」ではないことは理解できたはずだ。では、真に解決すべき課題とはなんだろうか?それはもしかしたらこんなことかもしれない。

傷つかずに素直に性の話ができない環境。

相手が何を恐れているのか聞き出せない関係性。

相手が恐れていることを受け止められない関係性。

妻とのセックスが失われたことで、あなたは何を失ったのだろうか?それは単なる性的快楽ではないはずだ。妻から大切にされている実感であったり、お互いを大切にし合うつながりではないだろうか?

あなたは真に恐れていることはなんだろうか?あなたはセックスの不在によって何が起こることを恐れているのだろうか?

性的渇望や怒りの下にある感情はなんだろうか?薄暗く、底が見えないほど深い井戸の底にあるあなたの感情はなんだろうか?ゆっくりと井戸の底に降り立とう。

もしかしたら、あなたは、妻との心理的な絆が失われることを恐れていないだろうか?

情緒的飢餓という言葉がある。人が生きていくために必要なものは食料だと言われるが、実はそうではなく、十分な食事が取れていても死に至ることがある。

第二次世界大戦後、ヨーロッパでは大量の孤児が生まれ、孤児院は人手不足に陥った。ミルクを与えることはできたが、抱き抱えたりするなどの情緒的なケアがほとんどできなかったという。その結果、栄養状態は問題なかったにも関わらず、バタバタと赤ん坊が亡くなっていった。

不思議に思ったスタッフは定期的に赤子や幼児の頬に触れるなど、スキンシップをケアに取り入れることにしたところ、生存率は格段に上がったという。これは人が生きているためには愛着が必要であることを示している。

大人でも同じなのだ。妻から愛されていない。この世でもっとも自分にとって大切な存在である妻から、この世でたった一人の自分の理解者であるはずの妻からセックスを拒絶されるということは、情緒的に断絶されたような感覚におちいるはずだ。

この情緒的飢餓の概念を知らないと、「セックスしさえすれば辛さが消える」と思い込むようになる。そして、飢餓状態から回復するために妻にセックスを強要し、拒絶された場合は頻度を提案するようになる。

だが、あなたが真に求めていることは性的快楽ではない。「妻から愛されているという実感」であるはずだ。

あなたが真に解決すべき課題とは、あなたが「妻から愛されていないこと」を恐れていることであり、それを妻に伝えられないことだ。

「妻から愛されたい」と望むなんて格好悪いと感じるだろう。なんて情けない、なんて女々しい、そんなこと口が裂けても言えやしない。だけど、誰でもそうなんだ。僕もあなたもみんなそう、僕らのまわりにいる男性はみんなそうだ。

本当は「妻から愛されない」ことを恐れ、愛をセックスという形で感じ取ろうとしているんだ。セックスをすれば「愛されている実感」を得ることができる。この飢餓状態から抜け出すことができる。確かに、男性はオーガズムに達するとバソプレシンというホルモンが分泌され、多幸感を味わうことができる。だからこそ、多くの男性は浮気や風俗を利用する。しかし、その結果、あなたは何を手に入れただろうか?

年季の入ったラブホテルで浮気相手を抱く時、湿った風俗店で風俗嬢に抱かれた時、あなたは「愛し愛されている実感」を感じられただろうか?

きっとそうではなかったはずだ。満たされることのない渇望はさらにふくれ上がり、浮気相手との逢瀬や風俗通いに拍車がかかったのではないだろうか?もしくは強い虚しさを感じ、自分が手に入れたものはなんだったのかと自問したはずだ。

そして、あなたの妻にとって真に解消すべき課題とはなんだろうか?あなたは今まで想像したことがあるだろうか?僕も含め、妻との関係に悩んだ男性の多くは、妻の感情に無頓着であるケースが多い。

なぜなら、妻は自分を愛しているはずという無邪気な思い込みがあるからだ。

あなたの妻はあなたとの望まぬセックスにより、なにを失っているのだろうか?それはもしかしたら人しての尊厳かもしれない。望まぬ客との疑似恋愛とセックスを強要される風俗嬢のように、不満を口にすることができず、ただただ終わりが来るのを待つ。抱かれるたびに、自分の中の人間性が破壊されていく。あなたとの性行為はそういったものだったかもしれない。

最後のステップは、そういった自分が抱いている「恐れ」、「恥」、「情けなさ」に向かい合うステージだ。

自分の「恐れ」、「恥」、「情けなさ」と向かい合う

自分は妻から愛されていない、妻は自分とのセックスに耐えている。こういった事実と向き合うことはとてつもない苦行だ。自分にとって誰よりも大切な存在である妻に嫌悪されている。愛の行為であるはずのセックスが、妻にとっては単なる苦行だった。

その事実はあなたは奈落の底に落とすはずだ。だが、それは紛れもない事実だ。もう、目を背け続けるわけにはいかない。あなたは吸い込まれるような暗闇に包まれた井戸を降り、拾い上げられるのを待っていた自身の柔らかな感情を手に取ったはずだ。

なぜ、あなたは古びた井戸の底に自分の感情を放り投げたのだろうか?情けない気持ちを妻に知られるのが怖い。妻にわかってもらえるわけがない。自分は妻から理解される資格なんてない。もしかしたら、そう感じていないだろうか。

なぜ、あなたはそう感じるのか?

それはあなたたち夫婦の「情緒的脆弱性」に課題があるからだ。情緒的脆弱性とはなにか?それは、二人を結びつける精神的な絆の弱さのことだ。

自分の感情を素直に伝えられない。相手の感情を素直に受け止められない。怒りというネガティブループに振り回され、心の奥にある「愛されたい」という気持ちを表現することができない。

そんな関係性が二人の情緒的脆弱性を加速させ、豊かな水が溢れていた井戸を枯れさせる。干からびた二人の関係性に潤いをもたらすためには、井戸の底に降り立ち、地面を掘り進めるんだ。シャベルを突き立て掘り進めるうちに、隠されていた感情が溢れ出してくるはずだ。

二人が同時に柔らかな感情を掘り起こし、それを受け止め合うことができれば、セックスレスの問題は自然と解決へと向かう。なぜなら、セックスレスとは身体の問題ではなく、心の問題だからだ。

ここまで書いておいて真逆のことを言うようだけど、義務セックス(セックスを嫌がるパートナーに義務的にしてもらう)をしてもらった女性が夫婦仲がよくなったというポストをしており、興味深かったので貼っておきます。

ののこ
@fGy59tmrse51918
セックスが定期になってから、夫からの愛情を感じられるようになってから、夫のことが前より好きだと思うようになってから、私の情緒が安定し精神的に満たされた毎日を送るようになってから、喧嘩は減るし間違いなく夫婦関係よくなった
義務(夫婦のため)セックス、すごくハマった
2024/04/18 16:49
6Retweet 264Likes

ただ、この方の過去ポストを見ていると、嫌がる夫に無理やりという感じでもなく、徐々に夫の感情が変わっていったようです。ある程度の信頼感が作られた上で、セックスを試してみようという感じですね。

義務セックスという単語があまりにパワーワードなので本質を見失いそうですが、要するに肉体的親密性が増すことにより、精神的親密性が増し、以前よりもお互いに思いやりを持ちやすくなったということかと思います。

セックスによってオキシトシンとバソプレシンが分泌され、お互いに対して自然と優しい気持ちが芽生えてきたということかなと。

信頼関係の構築、次に肉体的親密性、その後は肉体と精神の親密性が混ざり合うことで、二人の絆は螺旋階段を駆け上がるように高まっていく。そういうことなのかなと思います。

今回はここまでです。今回の夫婦関係学ラジオのリンクはこちら。ぜひあわせてお聴きください。

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次回は「#545 妻をケアする夫はなぜセクシーなのか?あなたの知らない「妻の心と体」の開き方」をもう一度深掘りし、なぜ欲望も恋愛も存在しない夫に対して、「ケアラー」というだけで女性はセックスしたいと感じるのかについてお送りします。

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では、また来週お会いしましょう!素敵なゴールデンウィークを!

追伸:

うちの三男が嘔吐と熱発症により、我が家は明日からのキャンプに行けなくなりました……。皆さんもお気をつけください。

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