覚悟とチームとコンパッション!妻との関係改善の努力を継続させる3つのヒント!
夫から心が離れてしまった妻との関係改善の努力を継続させることはかなり大変だ。何が起こったかを把握し、どうすればいいかを知り、勇気を持って行動し、そしてさらに根気強く継続させなければいけない。
なぜ、関係改善の努力の継続は難しいのか?
そこには情緒的飢餓の問題が関わっている。妻を失いそうになったとき、あなたはきっとこう思ったはずだ。
“この人は自分にとって大切な存在だ。それを今、初めて知った”
女性からすれば何を今さらという話だろうが、僕ら男性は妻からの愛を失って初めてその大切さに気がつくことが多い。なぜなのか?妻の愛の存在を当然視し、自分は嫌われることはないと信じ切っていたからだ。
そして、気がつけば妻以外に頼れる存在がいなかったことにも気が付かつく。過酷な仕事では論理的な話ができる人間はいても情緒的に頼れる人間はおらず、弱音を吐ける人はいない。仕事漬けだったため、昔の友人との付き合いは切れている。
自分では気がつかなかったが、「妻の存在」が唯一の心のオアシスであり、生きていられる理由だった。そんな人は僕だけではないはずだ。
だからこそ、妻の愛を失う体験は身体中を日本刀で切り刻まれるような痛みをともなうのだ。生きている意味がないと口にする人さえいる。それほど大きなインパクトを妻は夫に与えることができるのだ。
だから、妻との関係改善の努力を継続させることは難しい。この世でもっとも大切な存在を失い、情緒的飢餓レベルが最大値まで上昇しているからだ。多くの人は相談できる同僚や友人がいないため、怪しいカウンセラーに引っかかる。仕事でいうならプロジェクトの成功を占い師に占ってもらうようなものだ。
では、どうすればいいのか?「覚悟」と「チーム」と「セルフコンパッション」が有効だと僕は考えている。
別れる覚悟があなたを前に進める。
夫婦関係を改善しようと思っているのに「別れる覚悟」を持つとはどういうことだと、あなたは思うかもしれない。だが、離婚を視野に入れることで逆説的に関係改善に集中できるのだ。
妻から嫌われ、関係性を修復しようとする時、多くの人は精神的に疲弊する。いつまでこの地獄の日々が続くかわからないからだ。仕事でも長時間残業やハードなプロジェクトがいつまで続くかわからず、それ以外の代替手段がないとなると途方にくれるはずだ。もうやってやれるかと投げ出したくなるはず。
では、どうすればいいのか?
プランBを用意するのだ。仕事でも同じはず。トラブルが起こったら対策を練るはずだ。こういった対処をして納期に間に合わせる。それがダメなら違ったアプローチを取って間に合わせる。それもダメならできる限りの対応をし、トラブル被害を最小限に食い止める。
夫婦関係でも同じだ。「離婚」というプランB(どちらかというとプランC)を用意しておくことで精神的に安定し、関係改善の努力に集中できるのだ。その上でやれるだけのことをやる。すべてやり切ったならば、プランBの用意がない時よりは精神的ダメージは少ないはずだ。
別れる覚悟が持つメリットはもう一つある。妻への執着を捨てられることだ。妻から嫌われたことが明らかになったとき、僕ら男性は妻に強い執着を示す。
”行かないで欲しい。どうか残って欲しい。努力するからもう少し頑張らせて欲しい”
だが、妻の心が固まっている場合、うっとおしく感じるだけのだ。しかも、今まで散々感情を無視され続けてきたため、「結局、あなたは自分のことばかり。私のことなんてわかろうとしてくれない」なんて言われてしまう。
この強い執着はどこから生まれるのか?それが情緒的飢餓だ。
人はパンと水があれば生きられるのではない。愛着がなければ死んでしまう生き物なのだ。だからこそ、不倫や婚外恋愛がこの世から消えることがない。妻から捨てられることに本能的な拒否反応を示すことは自然な反応なのだ。生きるために愛着を必要としている証拠なのだ。
僕ら男性は妻以外に心を許せる存在が少ないため、妻から捨てられる体験は死を感じるほど強い情緒的飢餓を感じさせる。
だから、強い執着を示す。
だが、「別れる覚悟」を持つことができれば、この執着を手放すことができる。だからといって関係改善や自分自身の変容や妻へのケアを諦めるという話ではない。執着を手放すことでそれらに集中できるのだ。
別れたとしたら何が起こるか?慰謝料はいくらか?毎月の生活費はいくらか?子供との面会頻度は?
弁護士に相談すれば大体の相場はわかるはずだ。さらに離婚経験のある知り合いに話を聞いてみてもいい。そうすれば離婚後の生活がイメージでき、覚悟も決まりやすいはずだ。
関係改善の努力をする前提ではあるが、別れることをポジティブに考えられるようになれば情緒的飢餓レベルは下がり、妻へのケアといった自身の変容に集中しやすくなる。
次のヒントは、共に前に進む仲間作りだ。
関係改善プロジェクトチームを結成する
妻との関係改善は孤独な道のりだ。なぜこうなったのか?どうすればいいのか?いつまで続ければいいのか?この道は正しいのか?様々な迷いが生じ、葛藤が消え去ることはない。
だが、それでも前向きに夫婦関係に向き合い続けられる男性は存在する。それは「チーム」を作った人たちだ。共に前に進むためのチームを。
あなたは夫婦関係の相談を知り合いにしたことがあるだろうか?妻の不倫、婚外恋愛、セックスレス、妻からの嫌悪感、それらについて相談したことは?あまりないかもしれない。僕だってそうだ。こんなことを知り合いに相談するなんて相談もできなかった。だが、関係性を改善できる人々の多くは周囲に相談し、夫婦関係の課題を解決させるためのチームを作っている。
どういうことか?
職場の同僚、取引先などの仕事仲間、昔からの友人、兄弟や親せきなど。まわりを見渡してみると意外と相談できる人は見つかるはずだ。
(こんなこと言ったら迷惑かな……?)
そう思うかもしれないが、相談された方は意外と嬉しいものだ。特に男性は頼られたい生き物であるし、悩みを打ち明けてくれるということは自分を信頼している証でもある。だから心理的距離はグッと縮まる。その距離感があなたを情緒的飢餓から救ってくれるのだ。
そして、さまざまな立場の人間から意見が得られるため、多角的な視点を手に入れることができる。夫婦関係改善の原因と対策を考えるとき、どうしても一人で考えると煮詰まってしまう。友人や同僚からアドアイスをもらうことで、自分に起こった出来事をさまざまな視点から見られるようになる。
妻との関係につまづいてしまうと、つい自分を責め過ぎてしまったり、時には妻を恨んだりもする。だけど、多角的な視点はそこに余裕を持たせてくれる。自分だけが悪いのでもなく、妻だけが悪いのでもなく、二人がお互いの思いを素直に表現できない環境であったり、それぞれの思い込みに縛られていたことにも気がつくはずだ。
例えばそれは、妻が幼少期の家庭環境の影響から強く自己主張ができないことであったり、深い関係性を構築する際に恐怖心を感じることかもしれない。
もしかしたらそれは、自分自身が家父長制傾向の高い家庭で育ったので、知らぬうちに同じ家庭を再生産しようとしたことかもしれない。もしくは、僕のように女性が権力を持つ家庭で育ったため、意見を言いにくい性格が課題だったのかもしれない。
うまく自己主張ができなければ相手には伝わらず、相手の意見を聞こうというコミュニケーションにおける柔軟性がなければ会話は一方通行になり、家庭から情緒性は失わせ、まるで仕事のように味気ないものへと変わっていく。
このように、チーム作りには自分を客観的に見つめられるというメリットもある。自分のことはよくわかっているつもりでも案外わかっていないものだ。一人で内省を繰り返していても辿り着けない場所がある。
そんな時は、まわりの人間に恐れずに自己開示をすることで自己が浮かび上がってくる。よくアイデアや思考の整理を誰かとすることを「壁打ち」と呼ぶが、人間とのコミュニケーションは壁に向かってラケットを振る作業とは大きく異なる。
壁に向かってボールを打つならば、どこに返ってくるかある程度予測できるため意外な発見は少ない。だが、生身の人間に対して自分の本音をさらけ出すと、思いもよらない感想をもらえることが多い。妻に対する自分の行動を後悔してばかりだと思うが、自分がなぜその行動を取ったのか、そしてその背景にあるものが少しずつ見えてくるのだ。
その時は自分に対して情けなさやみじめさも感じるかもしれない。だけど、ただ自分を責め続けても前には進めない。なぜそうなったのかを論理的に受け止め、今の心理状況を情緒的に支えてもらうこと。この二つの柱を確立させることで、歩みを止めずに進むことができるんだ。
夫婦関係に悩んだ時、きっとGoogleで検索しまくったり、Amazonや楽天で役立ちそうな本を探しまくったはずだ。知識は確かに役に立つ。だが、自分自身を知るには誰かとの本音での対話が欠かせない。すべてを脱ぎ捨てた対話でのみ、人は自分を知ることができるからだ。
セルフコンパッションがあなたを支えてくれる
妻との関係改善の努力を継続させる最後のピース。それがセルフコンパッションだ。セルフコンパッションとは自分に対する思いやりのこと。
#552ではコンパッションの専門家である東京成徳大学大学院 石村先生にご出演いただき、コンパッションについて詳しくお話をうかがった。ぜひ、こちらもあわせて聴いて欲しい。
コンパッションは慈悲や思いやりと訳されるが、正確な定義は「苦しみや悲しみに向き合い、その苦しみを取り除こうとする姿勢」となる。ダライラマ14世はこう表現している。
「自分や他者が苦しんでいることに気づき、それを積極的に和らげようとすること」
そして、セルフコンパッションとは、「自分」の苦しみや悲しみに気づき、それらを和らげようとする行為を指す。なぜ、妻との関係改善の努力を継続させるために、セルフコンパッションが重要なのか?それは、妻の愛を失ったことによる情緒的飢餓から脱却するためだ。
友人、同僚、家族、親せきなどに相談し、チームを作ることである程度の情緒的安定性を得ることはできる。だが、それでも明日を迎えるのが怖い夜もあるはずだ。妻が家を出ていけば孤独感は増し、妻が家にいたとしても氷のように冷たいコミュニケーションしかなければ、心がくじけそうになる時だってある。
そんな時にあなたを支えてくれるのは、他ならないあなた自身だ。この概念はコンパッションを学んでいないと理解が難しいかもしれない。もしセルフコンパッションを深く学びたいのなら、以下の書籍をおすすめする。
Amazonでコンパッションと検索すると山のように本が出てくるが、この二冊は分かりやすく理解しやすい。一冊目は石村先生の著書でありビジネスパーソン向けに書かれている。二冊目はセルフコンパッションの生みの親であるクリスティン・ネフの著書だ。クリスティン・ネフの本はややスピリチュアル要素がありエクセントリックだが、セルフコンパッションの神髄が詰まっている。
ストレスに動じない“最強の心"が手に入る セルフ・コンパッション
セルフ・コンパッション[新訳版]
学校や仕事でもここまでのショックはなかったはずだ。妻を失いそうになる体験は比較対象が存在しないほどハードなものだ。普通の精神状態では乗り切ることなんてできない。
多くの人が夫婦関係を改善できなかったり、離婚を選んだり、婚外恋愛に足を踏み出したり、前衛的と思われるポリアモニーに手を出して後悔している。その理由は、妻との関係改善がそもそもハードな作業だからだ。
通常の精神状態で乗り切れるものではないんだ。だからこそ、自分自身に対するコンパッションが必要になる。セルフコンパッションの習慣をつければ、この先の人生はもっと生きやすくなるはずだ。僕自身、それを実感している。
セルフコンパッションに関する詳しい解説は次回おこなうが、簡単にできるものは以下の通りだ。
・スージングブリーズ(ゆっくりとした腹式呼吸)
・瞑想
・コンパッションビーム(心のなかで特定の誰かの幸せを祈る)
この他にもいくつか効果のあるワークがあるので、次回詳しく解説しようと思う。ただ、これは本で学ぶより直接教わった方がいい。知識の獲得というより、スポーツのように体感で得る部分があるからだ。
少し値段はするが、石村先生がおこなっているコンパッショネイト・マインド・トレーニングがおすすめだ。体系だった知識と実践の両方を体験できるワークは、日本ではここ以外にないと思う。
それにこういったワークショップは心理士に限定されており、僕らのような一般人は受けることができない。石村先生は心理士以外にも門戸を広く開いているため、興味がある方はぜひ受けてほしい。
今週はここまで。次回はセルフコンパッションについて掘り下げた回をお送りする。
コンパッションとはなにか?セルフコンパッションとはなにか?そして具体的にどういったワークが夫婦関係改善の努力の継続に有効なのか、詳しく解説します。ぜひ、来週もお楽しみにお待ちください。
今回の放送回はこちら。ぜひあわせてお聴きください。
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では、また来週お会いしましょう!素敵な週末を!
追伸:
5/16(木)発売の20~30代向け情報雑誌「DIME」にて、僕のポッドキャスト「アツの夫婦関係学ラジオ」を取り上げてくださっているそうです!音声配信特集ページの一部で取り上げていただいているだけなので枠は小さいと思うのですが、雑誌に載せていただくなんて初めてで興奮しています。
まだ僕自身が雑誌を見ていないので未確認ですが、もし書店にお見かけの際はぜひチェックされてみてください。そして、まわりの人にもおすすめしていただけると嬉しいです!では、また!
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